病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

オピオイドスイッチ:フェントス テープの切り替え

こんにちは。しがない薬剤師です。

 フェントステープの切り替え

 

フェントステープとは

一般名 フェンタニル

 

「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌」「中等度から高度の慢性疼痛」

これらに対する鎮痛に適応を有しています。

 

他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する必要があります。

使用していたオピオイドの用量を基準に開始用量を選択します。

1mgから始めないといけないわけではありません。

初回量に8mgは推奨されません。

また,最近0.5mgの製剤が承認されました。

1mg製剤の半面貼付という手間がなくなりそうです!

 

オピオイドスイッチはよく出くわすので,

各施設でオピオイド換算表を作ってるのではないでしょうか。

また,用量が明らかに換算ミス?と疑われる場合は疑義紹介することがあります。

 

フェントステープ貼付開始時

フェントステープ貼付開始時は

切り替え前のオピオイド製剤と合わせて投与タイミングを考えなければいけません。

添付文書の推奨では

使用していたオピオイドの投与回数が

  • 1日1回  → 投与12時間後に貼付を開始する
  • 1日2~3回 → 1回量投与と同時に貼付を開始する
  • 1日4~6回 → 貼付開始時と4~6時間後に1回量を投与する
  • 持続投与  → 貼付開始後6時間まで継続して持続投与する

 

覚えておきたいオピオイドと投与回数

  • 1日1回 → ナルサス・パシーフ・カディアン 等
  • 1日2回 → オキシコンチン 等
  • (1日3回 → メサペイン)
  • 1日4回 → オプソ・オキノーム 等
  • 持続 → フェンタニル,モルヒネ,オキファスト 等

 

 

これはフェントステープテープの貼付剤ゆえの

Tmax,半減期の長さが関係しています。

Tmaxは約20時間,半減期は約30時間ととても長くなっています。

そのため十分な鎮痛効果がえられるまでに時間を要するために,

切り替え前のオピオイドの最終投与タイミングと

貼付開始のタイミングを考えて使用しなければいけません。

(これがなかなか,疑義紹介で伝えるのが難しい…) 

 

フェントステープから他のオピオイドに切り替えるとき

フェントステープは半減期が約30時間あるため

はがした後もけっこうな時間,血中濃度が保たれています。

しかし,添付文書では切り替え後のオピオイドの開始タイミングへの推奨は記載ありません。

なので病院によって異なるのかもしれません。

私の病院ではだいたいフェントステープをはがして半日後に切り替え後のオピオイドを開始することが多いです。

 

ちょっと前に,

「フェントステープをはがして,すぐにオキシコンチンを内服開始する」

という指示を何も思わずスルーしてしまい,先輩に怒られたことがあります。

それで勉強しました。。。

 

 

癌性疼痛の患者が,内服が難しくなり,フェントステープに切り替える。

といった処方はよく目にします。

その度に,投与量・貼付開始タイミングに注意しています。

 

貼付剤で疼痛コントロールができれば家族や介護者も薬剤の投与が簡単になるため良いような気がします。

また,一方ではがし忘れには注意が必要です。

あれだけ長いTmax,半減期なのではがし忘れて前日分と合わせて2枚貼っているというのは怖いものです。

 

おわりに

フェントステープの添加物に「合成ケイ酸アルミニウム」が含有されています。

誘電性が無くて,含有量も非常に少ないので

MRI検査の時に貼ったままでも大丈夫,発火のおそれはないと考えて大丈夫ですよね?

病院によってはがすようにと取り決めされているのでしょうか。

また勉強してみたいと思います。        

 

フェントステープの添付文書より引用