病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

腸球菌はCREにはならない

 こんにちは。しがない薬剤師です。

 腸球菌はCREにはならない

 

今日は,自分の不勉強からミスをしてしまいそうになった事例です。

反省の意を込めて書いております。

 

昨今ではAMR対策アクションプランや抗菌薬適正使用支援チームなど,

抗菌薬と抗菌薬に対する薬剤師の活躍が大きく話題になっています。

これは何よりも世界的に多剤耐性菌の増加が問題になっているからではないでしょうか。

 

多剤耐性菌としてよく話題にあがるのが,ESBL,CRE,VRE,などです。

 

この中で今回はCREについてです。

CRE:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 のことですね。

みなさんご存知だとは思います。

 

はじめに

当院でカルバペネム系にもキノロン系にも耐性という

けっこうな耐性を獲得してしまっている腸球菌が検出されました。

未熟な私は,「腸球菌」という字面で腸内細菌科細菌だ!

とうとうCREが出たぞ!!!

お,保健所に報告なのか?どこに報告だ?

と思い込んで一人テンションが上がってたわけです。

わかる人からすれば,何言ってんだこのアホってなりますよね。

我ながら恥ずかしいミスです。。。。

ドクターに「○○さんからCREが検出されてますよ」とか言う前に気付いてよかった。

 

よくわかる解説!

  • 腸球菌について

腸球菌とは腸管内に生息しており,グラム陽性球菌に分類される,エンテロコッカス(Enterococcus)属の菌のことを指します。

代表的なものでは

E.faecalis ,E. faecium ,E. avium などがあげられます。

セフェム系には耐性をもっており,さらにはカルバペネム系に耐性を有するものも,しばしば見かけられます。

faeciumさんだとペニシリン系にも耐性のため非常にやっかいなやつです。

 

  • CREについて

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌:CRE(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)のことです。

⇒ 腸内細菌科細菌とは

Escherichia属,Proteus属,Klebsiella属,Enterobacter属,Citrobacter属の

グラム陰性桿菌に分類される5つの属の細菌のことをさします。

Escherichia属といえばE. coli(大腸菌),Klebsiella属といえばK. pneumoniae(肺炎桿菌)がすぐに思いつくのではないでしょうか。

(耐性獲得機序については今回はカットさせていただきます)

 

 

つまり,腸球菌はグラム陽性球菌で,腸内細菌科細菌に分類されません。

カルバペネムに耐性をもっていてもCREに該当しないということです。

 

未熟な私は,腸球菌という字面でひっかかってしまいました。

さらにはEnterobacterとEnterococcusで勘違いしていました。

恥ずかしい限りです。。

 

CREの届け出基準については厚生労働省がきちっと定めていますのでチェックしておきましょう。

3 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症|厚生労働省

ポイントは2つ

・7日以内に行わないといけないこと

・検査材料が通常無菌であるべき検体か通常無菌ではない検体かによって基準が異なること

 

 

おわりにちなみに

VREはvancomycin-resistant Enterococci

バンコマイシン耐性腸球菌

腸球菌が対象となります。

CREとVRE → ○○耐性のE

Eが同じと思って油断していると痛い目みます。