病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

高カルシウム血症

 

こんにちは。しがない薬剤師です。

 

高カルシウム血症と治療法

あまり出会うことがありませんが,なかなかこいつは厄介です。 

 血清カルシム値の算出方法

血清カルシウムイオンは,血清アルブミンの影響を受けるため,

Payneの式を用いて補正する必要があります。

Payneの式

血清補正カルシウム値(mg/dL)

=血清総カルシウム値(mg/dL)+[4ー血清アルミンブミン値(g/dL)]

 

自分の施設でのカルシウムの測定値が

補正カルシウム値か,総カルシウム値なのかは知っておきたいですね。

(おそらくほとんどが,総カルシウム値だとは思いますが。)

高カルシウム血症の症状は

多尿,便秘,食欲不振,高カルシウム尿症などがあります。

また,筋力の低下,錯乱,せん妄,昏睡にいたる場合もあります。

高カルシウム血症の原因は

副甲状腺機能亢進症,ビタミンD中毒,悪性腫瘍などがあげられます。

 

カルシウム製剤(カルシウム関係)の内服や

ビタミンD3製剤の内服中の患者で生じることがあります。

高齢者 → 骨粗鬆症 → ビタミンD3製剤 → 高カルシウム血症

副作用が少ない薬だと油断していると見逃してしまうので

薬剤師としては注意の必要なポイントです。

高齢者,腎機能低下例などでは要注意です。

 

 高カルシウム血症の治療方法は

  • 生理食塩水で補液(脱水によるものの場合)
  • カルシトニン製剤の投与
  • ビスホスホネート製剤の投与

カルシトニン製剤は,腎臓でのカルシウムの排泄を促進し,

また破骨細胞による骨吸収を低下させることで血清カルシウム値を低下させます。

エルシトニン注40単位を1日2回の投与(筋注または点滴静注)

カルシウム値の変動により適宜増減します。

 

ビスホスホネート製剤は,破骨細胞による骨吸収を低下させることで,血清カルシウム値を低下させます。

ゾレドロン酸は「悪性腫瘍による高カルシウム血症」に対して適応を有しており,

1回4mgを生食100mLに希釈し15分以上かけて投与することとされます。

基本的には4週間に1回,場合によっては1週間に1回投与まで,投与回数を増やすことがあります。

 

治療方法に,内服薬がありません。

 

 おわりに

高カルシウム血症は様々な要因で引き起こされます。

 

 

高齢者やがん患者にせん妄が生じた場合,とても気づきにくいです。

トラゾドンやクエチアピンといった薬剤を投与してもなかなか改善しない。

 

私は実際にこのような症例を経験しましたが,けっこう困りました。

Ca値測定の提案もなかなか思いつかず,クエチアピン増量にストップもかけれない状況ませんでした。

 

薬剤が原因の場合は処方カスケードにおちいってしまいがちです。

処方カスケードを止めることは最近話題になっている

ポリファーマシーを防ぐための薬剤師の大きな役割です。

 

 

悪性腫瘍による骨メタの患者に,ゾレドロン酸を,歯が悪い等々の理由で投与できない場合,治療は非常に難しくなります。

毎日エルシトニンを投与するのは,なかなか現実的ではありません。

エルシトニンによって,高カルシウム血症が落ち着いても,退院後のことも考えなければいけないからです。

 

内服薬が開発されたりしないかなと思う日々です。