病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

注射でヘルニアを治療できる?ヘルニコアについて

こんにちは。しがない薬剤師です。

ヘルニコア椎間板注用1.25単位

 

新しい薬の勉強会に行ってきました。

以下の点について忘れないようにまとめ

  • 発売日・薬価
  • 一般名
  • 効能・効果
  • 使用上の注意
  • 用法・用量
  • 適応上の注意
  • 作用機序
  • 副作用
  • 使用要件

 

腰椎椎間板ヘルニア治療剤

ヘルニコア椎間板注用1.25単位

 

  • 2018年8月に発売
  • 薬価は81.676円(1.25単位1瓶)

 

  • 一般名は注射用コンドリアーゼ

異種タンパクらしいです。

 

  • 効能・効果

保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出型の椎間板ヘルニア

→ 「保存療法で」とはどのくらいの期間か決まりがあるのか?

臨床試験では6カ月の保存期間があった患者が対象だったみたい。

ただ,保存療法の期間の規定はないらしいです。

手術の前の治療法の一つとして提案できたらいいな!ってメーカーのかたおっしゃってました。

 

  • 使用上の注意

画像上ヘルニアによる神経根の圧迫が明確

→ 薬剤師には判断不可能です。

この患者は適応にはならないのでは?という疑義紹介はできないでしょう。。

 

異種タンパクであるため,再投与によりアナフィラキシー等の副作用が発現する可能性が高くなるため,投与経験のない患者にのみ投与を行うこと

→ 1人1回しか投与することができない薬になります!!

まずは,初回でもアナフィラキシー等のアレルギー反応の可能性があるので,しっかりとした説明が必要です。

そして,患者は自分が過去に投与された薬剤名を覚えていることは少ない(ほぼない)ので,確実に他院にかかる際はわかるようにしてあげないといけません。

お薬手帳がいいのか。

投与経験ありますのカードを配布するようにはなっていますが,ぜったい無くしそうだな。

異種タンパクであることが原因なら,今後,類似構造をもつ薬剤が発売されたら大丈夫なのかなとか思ったりします。。。。

 

  • 用法 用量

コンドリアーゼ1.25単位(1バイアル)を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与する。

→ 複数高位への同時投与はできません。

L4/L5とL5/S1のように二つヘルニアになってる場合はそのどちらかということになります。

 

  • 適用上の注意

「生理食塩液」1.2mLをバイアル内に注入して溶解させる。

椎間板内の中心に1.0mLを投与します。

→ 生理食塩液で溶解するよう指定がされています。ブドウ糖液などではダメです。

また,生食は付属されていないので,セットで生食も処方していただく必要があります。

さらには,1.2mLで溶解させ,1.0mLを投与することは,確実に看護師に伝える必要があります。

(十中八九,薬剤師は払い出しのみ,看護師が調製,医師が投与の流れになるでしょう。)

 

☆投与日は入浴をしないように推奨されています。

→ 皮下注のワクチン接種とは違いますね。

 

  • 作用機序

ヘルニコアが椎間板内にて,髄核の主な成分であるプロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカンを特異的に分解し,プロテオグリカンの保水能を低下させる。

その結果,椎間板内圧が低下してヘルニアによる神経圧迫が軽減されて,臨床症状が改善される。

→ 。。。難しい。どうやって,この成分は椎間板ヘルニアに効くぞ!って思いつくんだろう

 

  • 副作用

背部痛20%,四肢痛2%

→ え?これって大丈夫なのと驚きました。

一過性のもので,数日で改善するみたいです。

患者によく説明しておかないと,注射のせいで痛みが強くなった!とクレームが入りそうです。

 

☆効果判定は約3カ月後にするように推奨されています。

 

  • 使用には「医師要件」「施設要件」が設けられています。

特に「医師要件」は,日本脊椎脊髄病学会又は日本脊髄外科学会の指導医、その指導下にある医師、もしくは本剤の治験に参加した医師,と定められています。

→ この医師要件を満たしているかどうか確認しておかないといけないのか。。

うちの病院投与できない気がするけど,なんのための勉強だったんだろう。。。。

 

 

おわりに

以上,今回ヘルニコアについて学んだことでした。

随時,アップデートしていきたいと思います。

薬剤師としては,1度きりの投与であるため,投与経験のないことの確認,そして他院にも投与経験があることを伝えられるような工夫が必要だと思います。

そして,発生確率の高い,投与後の疼痛の説明です。

 

ヘルニコア椎間板注用1.25単位

添付文書より引用