アナフィラキシーにグルカゴン?:アンサングシンデレラ1巻発売楽しみ
こんにちは。しがない薬剤師です。
みなさん漫画は好きですか?
この度,2018年11月20日に「アンサングシンデレラ」という漫画の1巻が発売されます。
今までにありそうでなかった,病院薬剤師の女の子が主人公の漫画です。
病院薬剤師なら,病院実習中の薬学生なら
一度は感じたことがある思いを代弁してくれる,
納得したり共感したり,そして勉強にもなる漫画です。
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 1 (ゼノンコミックス)
- 作者: 荒井ママレ,富野浩充
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2018/11/20
- メディア: コミック
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アプリや公式サイトで先取りして,試し読みできるので,
ぜひ気になる方は読んでみてはどうでしょうか。
もちろん私は読めるとこまで先読みしました。
さらにコミックを購入予約済みです!!
好きなタイトルは週刊誌もコミックも読むタイプなので(笑)
まだ発売してもいないのでレビューもネタバレもなるべく控えたいと思います。
お勉強ブログということで,
アンサングシンデレラを読みながら
気になって調べて勉強した事についての記事です。
アナフィラキシーとグルカゴン
β遮断薬内服中のアナフィラキシーショック患者に対して
アドレナリンが効きづらい場合がある。
そんな時,グルカゴンが有用なことがある。
まずはアナフィラキシーについて簡単に。
アナフィラキシーとは
アナフィラキシーとは
「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」
と定義されます。
これに伴い,血圧低下や意識障害をきたすとアナフィラキシーショックといいます。
特に,食物(小麦や甲殻類など),医薬品(造影剤含む),ハチに刺されるといったものが主な原因となります。
治療
血圧低下や呼吸困難といった重症例には
アドレナリン筋注を行う必要があります。
0.01mg/kgが推奨投与量となっています。
アナフィラキシー発症時に近くに医療機関がなく
すぐに治療が受けれないといった緊急事態も予測されます。
そんな時のために,エピペンというアドレナリン含有の注射型製剤があります。
最近は小学校にも設置されている場所もあるとか。
薬剤師としては,服薬指導はもちろんのこと,
自分が投与する立場になることも考えて
使用方法を理解しておく必要があると思います。
(これについてはまたどこかで。)
本題に。
β遮断薬内服中のアナフィラキシーショック患者に対して
アドレナリンが効きづらい場合がある。
そんな時,グルカゴンが有用なことがある。
グルカゴンとは
膵頭α細胞から分泌される29残基のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。
その作用は様々で
- 消化管運動の抑制
- 成長ホルモンの分泌促進
- 肝臓におけるグリコーゲン分解と糖新生
- インスリン分泌促進
- 心臓における陽性変力・陽性変時作用
などがあげられます。
適応は
- 成長ホルモン分泌機能検査
- インスリノーマ診断
- 肝糖原検査
- 低血糖時の救急処置
検査に使うか,低血糖時に使うのかな
ぐらいでしか覚えていませんでした。
そもそもアドレナリンの作用を復習。
カテコラミン製剤(アドレナリンなど)による
心臓における陽性変力・陽性変時作用は,
カテコラミンでは心筋細胞のβ受容体に結合することで
アデニル酸シクラーゼを活性化し,細胞内cAMP濃度を上昇させることによります。
そのため
高血圧や心不全の治療のために
ビソプロロールなどのβ遮断薬を内服している患者さんでは
カテコラミン製剤の作用が弱まってしまいます。
なぜグルカゴンが有効?
グルカゴンではβ受容体を介さずに細胞内cAMP濃度を上昇させるため
β遮断薬投与中であっても昇圧効果を発揮することが示されています。
そのため,β遮断薬内服患者の緊急事の昇圧目的に使用されるのです。
しかし,先ほど確認した通り,適応外使用になりますので注意が必要です。
投与方法は
1国際単位を約5分間隔で血圧をモニターしながらの反復投与。
昇圧が得られたら0.3~0.9 mg/hrで持続投与を開始し,適宜投与量を調整する。
持続投与の際には低血糖・高血糖・嘔気・低カリウム血症に注意。
恥ずかしながら
まったくもって知りませんでした。
薬剤師としては,患者の内服薬の確認・情報提供や,グルカゴンという選択肢の提示,投与量・投与方法の確認ができるようになるべきでしょう。
おわりに
まんが×薬剤師×勉強
今までで一番楽しい勉強法だったかもしれない。
よく英語は一番好きなまんがの英訳版や映画の英語字幕で勉強すると良い
なんて聞きますが,薬学でもできるなんて。
アンサングシンデレラ発売が楽しみです。
参考
日本アレルギー学会のHP
日本麻酔科学会のHP
https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF
http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-12_20181004s.pdf