食欲不振に使われる薬
こんにちは。しがない薬剤師です。
毎日暑いです。夏バテで食欲が下がってしまいますね。
患者にも食欲不振を訴えることが多いような気がします。
食欲不振に効く薬
よく高齢者では入院後の食欲不振に悩まされる場合があります。
入院理由の原疾患は,めどがたった・治療が行われたのに
食欲不振のため,エネルギーが少ない,リハビリがすすまない,最悪の場合CVから離脱できない,そんなことがしばしば起こります。
すぐに薬剤に頼るべきではないのかもしれませんが,食欲不振に対して薬剤が処方されることはよくあります。
また,医師から食欲不振の患者に何を処方したらいいかな?なんて問い合わせも。
みなさん,どういった方法が思いつくでしょうか
私もがんばって勉強しました。
薬剤で食欲不振に
- プリンペラン・ナウゼリン・ガナトン
ドパミンD2受容体に拮抗することにより,アセチルコリンの遊離を促し,消化管運動を促進させる効果があります。
効能・効果としても「食欲不振」を有する薬剤です。
やはり一番に思いつきますかね。
- 六君子湯
漢方では六君子湯でしょうか。十全大補湯・補中益気湯も候補に挙がります。
六君子湯は胃排出促進作用に加えて,食欲増進ホルモンであるグレリンの分泌を亢進させる働きがあると報告されています。
注意点としては,食欲が下がっている患者が漢方をちゃんと飲んでくれるのか。
これにつきます。。。
- リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ
完全に適応外ですが。
アルツハイマー型認知症の進行抑制に本来使用される薬剤です。
ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用により,アセチルコリンの分解を減らしアルツハイマーに効果を発揮しますが,
ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用により,グレリンの分解を防ぐともされています。
そのため,六君子湯と類似の効果を発揮することが予想されます。
アルツハイマーで活気がなかった高齢者に活気を取り戻し,食欲も増進させる一度で二度おいしい適な薬剤です。
貼付剤という点が役に立つこともあります。
しかし,消化器症状等の副作用症状は有名です。
副作用発現を防ぐため,増量には細かい用量設定がある薬剤であり,注意が必要です。
- オランザピン
こちらも適応外処方です。
MARTAに分類され,基本的には統合失調症,双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善に用いられます。
つい最近,抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心,嘔吐)への適応が追加されたことが記憶に新しい薬剤です。
マルチレセプターに作用するなか,食欲亢進の発現機序としては,セロトニン(5-HT2c)やヒスタミン(H1)レセプターの拮抗作用や,グレリンとの関連などが考えられています。
一方で高血糖・低血糖といった血糖バランスを大きく崩す恐れがあります。
糖尿病の患者には当然ながら禁忌,そうでもない患者にも注意が必要です。
薬剤以外の対応方法もしっかりチェック
- 便秘
食欲不振は便秘が原因となっている場合も意外と多いです。
便秘→悪心→食事も入らない
患者の便秘の有無もチェックし,必要におうじて緩下剤を。
- 歯・かみ合わせ・入れ歯があってない
以外と見落としがちですが,よくあります。
口腔ケアとともに歯科受診により改善する場合があります。
- 味覚異常
亜鉛欠乏などにより,食事に味を感じず,食欲不振となっていることがあります。
特にTPNから離脱したばかりの患者,経口摂取少なく栄養バランスが少ない患者などにおこります。
亜鉛濃度の測定とともに,亜鉛補充をすればすぐに改善します。
- 食事制限
降圧剤内服中・血圧が高いといった理由で一律に減塩食となっていている場合があります。
減塩食では美味しくないから食べない患者も。
状態によっては減塩食より,食事摂取を優先するべきですよね。
糖尿病の既往により,間食は許されていないとき。
意外と,患者家族が嗜好食を持ち込んだらすんなり食べるようになったということもあります。
- 環境づくり
デイルームのような周りの患者がみんな食事しているという環境に連れて行くと,周りがおいしそうに食べていると食べたくなることもあります。
このように薬剤以外でもたくさんの対応方法があげられます。
おわりに
薬剤師だからといってすべてを薬剤で解決しようとしなくても良いと思います。
しっかり患者観察が大切です。
今日も長々とお付き合いいただきありがとうございました。