病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

高カリウム血症とGI療法

みなさんこんにちは。しがない薬剤師です。

 

高カリウム血症とGI療法

 

「5%ブドウ糖500mLにインスリン5単位混注したものを1セット」

これを3セット投与。適宜血糖値も測定してください。

 

このような指示を見たとき,

 

最初は正直恥ずかしながら,

先生,何目的なんだろうと思ってました。

教科書では(国試でも)このような治療方法は習いませんでした。(言い訳)

 

これが,GI療法だとは知らずに。

勉強しました。  

高カリウム血症の病態は

一般的に,神経筋症状(痙攣・反射消失)や筋力低下,

消化器症状(悪心・嘔吐,下痢等)を引き起こすとされます。

重症例では,心室細動または心停止を引き起こす心毒性が生じる恐れがあります。

 

高カリウム血症の原因は

カリウム摂取量の増加・排泄の低下によります。

特にカリウムの排泄低下が問題となります。

  • ARBやカリウム保持性利尿薬といった薬剤
  • NSAIDsや多くの薬剤・病態による急性の腎害
  • 慢性の腎障害
  • 手術等の細胞障害

   と様々な原因があげられます。

 

 

では本題に

GI療法とは

Glucose-Insulin療法のことで,その名の通りグルコースとインスリンを投与します。

なぜ,このセットで血清カリウム値を低下させることができるのか。

 

それは,インスリンの働きによって細胞内へのK移行を促進させるからです。

インスリンは細胞膜のNa-K-ATPaseを活性化させます。

ブドウ糖が細胞内に取り込まれる際に,カリウムも一緒に細胞内へ移動します。

この作用を利用して血清カリウム値を下げます。

インスリンだけ投与すると,当然,血中ブドウ糖濃度も低下(低血糖)してしまうために,予防的にブドウ糖を投与することとなります。

 

投与方法は

  • 50%Glu50mL+インスリン10単位を静注
  • 50%Glu40mL+インスリン5単位を5~10分かけて点滴
  • 10%Glu500mL+インスリン10単位を30~60分で点滴
  • 50%Glu200mL+インスリン20単位を5~6時間かけて点滴
  • 5%Glu500mL or 10%Glu250mL+インスリン5~10単位を持続投与

 

だいたいブドウ糖25gにインスリン5単位を基準にして考えてよさそう。

投与速度や量は血糖値,K値を測定しながら調節します。

 

注意点としては,第一に低血糖に注意。

ほぼ全例で低血糖となると思っていてもいいです。

それぐらいの用心が必要。

 

個人的な注意点としては速攻性が低いということ。

高カリウム血症の補正に急を要する患者への

選択肢としての提案は微妙です。

 

おわりに

みなさん,高カリウム血症への治療法はいくつ思いつきますか。

(透析,ポリスチレンスルホン酸カルシウムの内服,カルシウム製剤の静注……)

 

他の方法も今後勉強して紹介していきたいと思います。