病院薬剤師 お勉強の日々

3年目の病院薬剤師の奮闘記です。勉強・読書・気になるニュースなどを紹介していきたいと思っています。

新規抗MRSA薬テジゾリド(シベクトロ)

こんにちは。しがない薬剤師です。

 

新規抗MRSA薬

みなさんご存知ですか。

 

腎機能に依存しない1日1回投与の抗MRSA薬が薬価収載されました。

2018年5月22日に収載されたみたいです。 

私も最近まで知らず,Drに聞かれて知ったので,ちょっと反省です。

 

その名も

「シベクトロ錠200mg,点滴静注200mg」

 一般名:「テジゾリドリン酸エステル」 

適応菌種:「テジゾリドに感受性のMRSA」

適応症:「深在性皮膚感染症,慢性膿皮症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,びらん・潰瘍の二次感染」

用法用量:「成人に1日1回200mg」(点滴静注も同用量)

バイオアベイラビリティがほぼ100%なので内服・点滴が同用量です。

腎機能によらず用量調節は不要みたいです。

薬価:200mg 1錠が20.801円,1瓶が28.084円

 

名前からお気づきの方が多いと思います。

 

そう,リネゾリド(ザイボックス錠600mg,点滴静注600mg)ですね。

同じオキサゾリジノン系薬剤のようです。

少しリネゾリドの特徴について

適応菌種:「感受性ありのMRSA,エンテロコッカス・フェシウム」

適応症:「敗血症,深在性心筋症1,慢性膿皮症,外傷・熱傷及び手術創の二次感染,肺炎」

バイオアベイラビリティ約100%で注射剤から経口への切り替えができる。

用法用量:「1回600mg,1日2回投与」

有名な副作用として血小板減少症を主とする骨髄抑制が挙げられる。

投与は28日間まで。

薬価:「600mg 1錠が11103円,点滴静注が14997円」

1日2回投与なので単純に倍かかります。(1日で)

まだまだありますが,こんなところにしておいてください。

 

 テジゾリドとリネゾリドの比較

テジゾリドは敗血症と肺炎の適応がないですね。 むむむ。

バイオアベイラビリティについてはどちらも100%。

注射↔内服の切り替えが同用量で大丈夫そうですね。

テジゾリドは1日1回で良いのはうれしいところ。

テジゾリドは研究段階では血小板減少は起きにくいようです。

投与日数はどうなるんでしょうか。

1日薬価では変わらないなと思ったら,リネゾリドには後発品があります。

後発品なので6~7割の値段になってます。

なんとテジゾリドは,MRSAに対してはリネゾリドと比較して4~8倍強い抗菌活性を示すみたいです!!強すぎる。

 

 おわりに(長い)

新しい抗菌薬は基本的に薬価収載されても最初はバンバン使いません。速攻で耐性菌が発生するのが目に見えているからです。なので大事に大事に,少しずつ使っていくことが多いです。育薬ですね。

その一方で,あまり使われないのでデータがなかなか蓄積されていきません。適応症・適応菌種・投与日数は今後使われてきてどんどん広がっていくのは予想できますが。

 

これ以上は長くなるのでまた今度にした方がいいかもしれませんが,

リネゾリドといえば,バイオフィルム透過性が強い・骨移行性が高いので人工関節系の感染症にもよく使われます。

また,腎機能低下例に本当に減量しなくてもよいのか?と疑問を呈する研究もちらほら散見されています。

これこそ,データの蓄積ですよね。

テジゾリドにも こういったデータがどんどん蓄積されていくはず。

腎機能によらず用量調節不要,1日1回投与,血小板減少起きにくい,テジゾリド。

 

どうなる。今後に期待です。